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【HearToプロジェクト】#14『SDGsとエシカルファッションから考えるこれからのアパレル業界 | energy closet代表三和沙有里さんの原動力』

更新日:2021年11月18日


今回から数回にわたり、Z世代をテーマにインタビューを行いWEB記事を配信する。Z世代とは一般的に現在11~25歳の年齢に属する人々のことを指す。デジタルネイティブで社会問題に対する意識が高いといわれているZ世代の人々のお話から、読者の皆さんが新しい一歩を踏み出すきっかけを与えられたらと思う。

※HearToのSNSで、Z世代についてのコラムをご覧いただけます!


 初回にインタビューさせていただいたのは、いらなくなった服を別の気に入った古着と交換する、服を売らないアパレルショプ「energy closet」を経営する三和沙友里さん。大学在学中にフードロス問題に関するプロジェクトに携わり、大学卒業後は結婚式に携わる企業に入社。のちに、大学時代から抱いていた洋服の循環に対する問題意識にアプローチするために2019年に「energy closet」を立ち上げ、イベント開催などを通して活動されている。

 近年、SDGsやエシカルファッションという言葉を日常生活で目にするようになった。これらは、ハードルの高いもの、意識の高い人が考えることなどと思われがちである。しかし三和さんのお話を聞くと、これらの考えは私達にとって身近なものに感じられた。第一章では三和さんのご活動を社会貢献という視点から迫る。


【洋服に対する考え方の変化】

――三和さんがエシカルファッションに興味を持ったきっかけを教えてください。


「大学に入り自分で稼いだお金を使って洋服を買うという経験が始まった時期に、好きだからこそ洋服についてたくさん調べたり、吟味したり、服をたくさん買ったりしていました。その中でまだ来られる洋服がたくさん捨てられているという現場に触れる機会がありました。自分が好きだからこそ服に費やしていた時間とお金が、本当に自分の好きな服のためになっているのか不安になり、より深く調べたり考えたりするようになったのが、エシカルファッションとの出会いだったと思います」


 しかし三和さんが服の消費に関する違和感を抱いたときには、まだエシカルファッションの考えは世の中に広まっていなかったという。


「私がそう思い始めた頃はまだエシカルファッションという言葉を知っている人はほとんどいませんでした。自分の考えていたことがエシカルファッションとして最近流行ってきたなという感覚です」


「いくつかのファッションブランドのSDGsに貢献するプロジェクトがやっと立ち上がってきたのがここ1,2年だったので、そこから自分の考えが世の中に伝わりやすくなったと思います」


【CLOSETtoCLOSET (クロクロ)の活動について】

最近では、オンラインでの衣服の売買が盛んに行われている。しかし、CLOSETtoCLOSETは毎回対面型のポップストア形式で開催されている。これには何か理由があるのだろうか。

※CLOSETtoCLOSET:energy closetが毎月都内で開いているポップアップストア

「ブランドの名前でお洋服を判断すると、偏見を持ってしまい、お洋服自体の価値がわからないまま売買がおきてしまっている場面を見ることがあり、違和感がありました。なので私のブランドではお洋服自体の良さを見ながら直感を大事にしてお洋服を選んでほしいな、と思っています」

「触ってみて、実際に見てみてから持って帰るかどうか考えてほしいなと思っているので、人数を減らしたり感染対策をできることをしてでも絶対にオフラインで開催することにこだわってきました」

CLOSETtoCLOSETは予約制のポップアップストアであるからこそ、一人ひとりのお客さんが時間をかけて洋服そのものの価値に向き合う時間が大切にされているのだ。



【今後のアパレル業界のあり方】

――洋服の大量廃棄などが社会問題になっていますが、これからのアパレル業界のあり方に関して考えを伺いたいです。

「新しい洋服が生まれてくるのは私自身も楽しみにしていることですし、そこは止まってほしくないと思います」

「自分がやっているような、着なくなった洋服を再利用したビジネスというのはもちろん広まって欲しいです。でも、今の状態で十分にあると思っているので、たくさん増えたらいいなとはそこまで思っていません」

「それと別で、まだ着られる服が皆さんの知らない間に捨てられ、それにもかかわらず新しいお洋服が作られているという事実は絶対に良くないことだと思っているので、1回や2回で捨てられてしまうような服が作られない市場ができたらいいな、と思います。なので、古着になっても着られるようなお洋服がたくさん生まれるアパレル業界にしていきたいと思っています」

三和さんは新しいものを生み出すという考えを否定することはなく、お洋服を無駄にしない、大切につないでいくという考えをお持ちだった。

「私の仕事は着られなくなった服をちゃんと見つけ出して、着たいと思ってくれている人に届けることだなと思っています」


 

"服が好き、服を大切にしたい"という思いから洋服の消費に対する問題意識を抱き、現在の活動を続けてきた三和さん。エシカルファッションを広めたいという思いより、大好きなものを大事にしたい、それを実現する居場所をつくりたいという思いが最終的に社会貢献に繋がっていることがわかった。服の本当の価値を見出し、どんな服でも救いたいという三和さんの強い思いがenergy closetの活動の原動力になっていた。

第二章では、ビジネスの視点からみた三和さんの姿に迫りる。学生時代から抱えていた問題意識に対して、アパレルショップの経営という形でアプローチするに至った三和さんの成功の鍵や、活動のモチベーションについてみていきたい。

 

【インタビュイー:三和沙友里さん】

要らなくなった服を新たな服と交換する、服を売らないアパレルショップであるenergy closetを経営する。毎月第一日曜日に都内でCLOSETtoCLOSETというポップアップストアを開催している。


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