聞き手:富田理子
記事編集:成田朋香、富田理子、木村朋花
今回インタビューを受けていただいたのは、大手人材企業で事業開発を行う傍ら、NPO法人コンフロントワールド代表理事として活躍されている荒井昭則さん。学生時代に、ボランティアをしつつ世界一周の夢を叶え、現在は副業として国際協力に取り組むという新しい形で社会の問題にアプローチしている。実際の活動としては、ウガンダにて難民支援やトイレ・貯水タンクの建設に携わり、ペルーの刑務所発ブランドの委託販売なども行っている。
(写真中央が荒井さん)
国際協力とサラリーマンの二足のわらじを履く荒井さんの考え方は、小難しいものではなかった。インタビューを通して伝わってきたのは、「新しい一歩を踏み出せず悩んでいる学生へのメッセージ」だ。この記事を読んで荒井さんから新たな価値観を学び、新しい一歩を踏み出すきっかけにしてほしい。
荒井さんには事前にモチベーショングラフの作成を依頼し、それを基にインタビューを行った。このモチベーショングラフの中で、現在の荒井さんの活動に繋がっているのが、大学を休学して1人世界一周旅行へ飛び立ったというお話だ。そこで、第一章では荒井さんの核となるこの世界一周の経験に迫る。
(荒井さんに作成していただいたモチベーショングラフ)
■ 人との出会いで影響を受け流されてみることも大切
--世界一周旅行中にどのようにしてボランティアを探されていたんですか?
「2種類の方法で探していました」
「1つはネットからです。例えば、”ペルー 青年海外協力隊”と調べるとペルーの協力隊の人のブログが何個か出てくるので、それを書いた人にダイレクトメッセージを送りました。自分の手でボランティアしている日本人を探していて、主にスリランカとペルーではこのやり方で見つけていました」
「もう1つはボランティアプログラムを斡旋しているNPO法人NICEという団体がありまして。ボランティアの斡旋事業を行っていたので、その団体経由で参加していました」
「『海外 ボランティア』と検索したら結構出てきます。検索するかしないかという差だと思うので。ぜひ調べてみてください」
--新しいことを始める上で大切にしていることは何かありますか?
「NPO法人も当時の代表に誘われたり、世界一周を決めたのも日本を旅していた時に相部屋だった人から影響を受けたりして始めたんです。人脈を広げることを大事にしていないので、期待値が低いから、あ、これすげーぞ!ってなった時に影響を受けがちな性格なんだと思います。いいと思った出会いに流されて活動のきっかけを得ることが多いですね。」
「また、後付けする力も強いかもしれないです。その時は良い出会いだと考えてないことも多いんです。世界一周したことも、団体作ったことも、自分の中でピンときたから始めたくらいなんですが、後から考えるとあの時の出会いが繋がってたなということを自分の中で繋げて、それを無理矢理要因にすることは多いかもしれないです。」
■ モチベーションで大切なのは動機付け
--サラリーマンをしながらNPOの活動をする事はかなり大変なことだと思うのですが、荒井さんにとってその原動力はなんでしょうか。
「正直あんまりないんですけど、尊敬する経営者の方が言っていた『モチベーションには感情・欲求・動機付けの3種類がある』という言葉がとても印象に残っていまして」
「ラーメンを食べる事を例に挙げると、感情面でのモチベーションとは好きだからラーメンを食べたいということ。欲求面でのモチベーションとはお腹が空いたからラーメン食べるみたいなことだと。動機付けでのモチベーションというのは、ラーメンを食べたいけどダイエットしてるから、ちょっとやめておこうとか、ラーメンブログを書いてるからラーメンを食べ続けようとか」
「感情や欲求はブレがあると思うので、動機付け、なぜ自分はそういう存在なのかというところは意識はしています。NPOの活動も20代で副業で国際協力をやっている人はかなり少ないので、ロールモデルにな
り得るのではと思い、自分を洗脳して動機付けをやっています」
「ただ、感情でも欲求でも大事にしているのはやりたいやりたくない、というところはコントロールしない。例えば二日酔いの次の日だったら国際協力をやりたいわけないじゃないですか(笑)」
「国際協力よりNetflix見る方が正直楽しいじゃないですか(笑)国際協力を続けている人は自分が人生で何を成し遂げるのかという事や、なぜ自分がこの活動をしているのかという動機付けという点が大きいと思います。なので、感情とか欲求ではなく動機付けを意識してやろうとは思っていますね」
■ まずは身近なところから小さな一歩を踏み出してみる
具体的なアクションを出来ずにいる大学生へのアドバイスをお願いしたいです。
「僕は研究とは離れた人間なので、勉強それ自体は価値ないと思うんですね。研究者・批判者・実行者・事業家というセクターあると思うんですが、僕は事業家が好きなので、得た知識を活かして行動するのがいいと思います。何か調べるというより行動してほしいです」
「行動するでいうと、SNSで国際協力に携わっている人にメッセージを送るというのも一つの行動だと思います。たとえ、断られたり無視されたとしても、それは一つの行動になります。また、メッセージを送る際に、自分が聞きたいことを整理してからお願いすることになりますよね。誰か1人にメッセージを送るだけでも、自分が知りたいことを言語化することに繋がるので大いに意味を成すんです」
「誰かにアプローチするというのは、分かりやすいかつ難しい一方で、一歩進めることなのではと思います」
なにか物事をやるにあたって、動機づけを大切にしているという荒井さん。自分がなぜこの活動に興味を持っているのかを考えながら、自分の気持ちに素直にアクションを起こしていることが分かった。興味スイッチを押される瞬間を大切にし、何気ない出会いが荒井さんの現在の活動に繋がっていた。
また、第二章では、学生時代に経験された世界一周の経験や、NPO法人に至るまでの経緯などのお話があった。そこで第二章では、インタビューを行う中で見えてきた「自分に正直になる」という荒井さんの核に迫っていきたいと思う。
【インタビュイー:荒井昭則さん】
大手人材企業で事業開発を行う傍ら、NPO法人コンフロントワールド代表理事として活躍中。ウガンダにて難民支援やトイレ・貯水タンクの建設に携わり、ペルーの刑務所発ブランドの委託販売なども行っている。
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