今回のインタビュイーは世界一周をする三十路カップル、青春の窓さん。
フォトグラファーとしても活動するおのぷろさんとパートナーのちかさん、お二人にお話を伺った。
過ごし慣れた場所から離れて旅に出た二人。旅先での冒険、挑戦、出会いは一体どのようなものなのだろう。
第一章ではお二人が世界一周を始めた経緯と旅路でのエピソードを取り上げる。「冒険」をリアルタイムで発信しているお二人のお話から、見たことのない景色や経験を読者のみなさんにも感じていただきたい。
「三十路カップルの世界旅」はじまりのきっかけ
旅への憧れがあっても、旅に出ることを決めるには少し勇気がいる。
青春の窓のお二人は何がきっかけで、何に後押しされて旅に出たのだろうか。
ーーお二人の活動を改めてご紹介いただきたいです。
おのぷろさん
「簡単に言うと三十路カップルが世界一周をしながら、その様子をYouTubeやInstagramで発信する活動をやっています。」
「YouTubeやInstagramで発信する人は軌道に乗るまではメインの仕事があって、その傍らでSNS発信をやるというスタイルが多いと思います。でも僕たちは会社をやめて、世界一周とSNS発信を人生そのものとしてやっています。」
ーー学生時代から旅について考えていましたか。
おのぷろさん
「僕は昔からゲームが好きで、小学生時代にRPGのドラゴンクエストなどをよくやっていました。ゲームの主人公が世界を冒険しながら魔王を倒していく過程が好きで。」
「でも中学生や高校生になるにつれて、徐々に現実が見えてきました。冒険とか言っている場合ではなく、進路や将来を考えなければいけなくなってしまいました。僕の両親が先生をやっていたこともあり大学は教育学部に進みました。その大学で仲良くなった友達に旅好きな人が多くて、その影響で自分も旅行や旅をするようになりました。」
「そうしているうちに、昔憧れていたゲームの中の世界と旅に似たようなワクワク感を感じ、昔からの憧れが現実世界でも実現できるんじゃないかと思いはじめました。そういう意味では、学生時代から旅に興味があったんだと思います。」
ちかさん
「私は、旅というものに対して強くやってみたいというような意思は持っていませんでした。」
「でも海外の人と繋がることや、外国語には興味がありました。英語を話せる先生がかっこよく見えた中高時代の漠然とした記憶があったからだと思います。大学では海外の人に日本語を教える日本語教育を専攻し、大学院生の時にはアメリカやイギリスの大学でALTとして1年半程日本語を教えた経験もあります。」
おのぷろさんは、ゲームの世界。ちかさんは、楽しそうという気持ち。二人の旅に対する思いの強さは異なるが、二人とも「わくわく」を感じているように感じた。その感情は日常に携わったものなのであろうか。
ーー日本にいた頃から日常的に世界一周について考えたりはしていましたか。
おのぷろさん
「大学時代にTABIPPO※という企業がやっている“ドリーム”という世界一周コンテストに出たことがあります。その頃から世界一周に行きたいという思いがあって日常生活でも考えることは多かったです。」
※TABIPPO:「旅で世界を、もっと素敵に」を理念として、イベントの開催や書籍・雑貨の製作と販売、観光局や旅行代理店などのマーケティング支援を行う会社。
「社会人になってから、僕たちは同じ観光系のスタートアップベンチャーで働きました。当時はコロナ蔓延以前で訪日観光客が多くいた時期だったので、彼らをターゲットにさらなる誘致を考えながら、プロモーションやマーケティングをしていました。ですが、日本に来た外国人の方の色んな国の話を聞いていると、実際にそのゲストの住む国に行ってみたいという気持ちがふくらみました。そのような人たちがずっと世界一周に対するモチベーションを保たせてくれ、日常の中で考えるきっかけを与えてくれていたと感じます。」
ちかさん
「私はあまり考えたことはなくて、大学時代に世界一周をしていた後輩の話を聞いてすごいなと思っていたくらいでした。死ぬまでに全大陸を制覇してみたい、という漠然とした思いはあったので、おのぷろから“行ってみない?”と誘われた時には楽しそうかなと思い、ついて行くことにしました。」
二人なりの旅を求めて
ーーでは、実際に世界一周をスタートされて、ここまでで印象に残った地域を教えていただきたいです。
おのぷろさん
「世界一周のルートには決まりはなく、西周りや東周りなど、どこから始めるかも人それぞれです。僕たちはアジアから始めているので、これまで訪れたのがアジアの国々と今(2023/02/02)いる中東の国です。」
ちかさん
「良かったなと思うのは、スリランカでしたね。YouTubeの動画でも出しているのですが※、自分たちで免許をとってトゥクトゥクという乗り物を乗り回したんです。それがすごく楽しくて。」
※動画はこちらから! https://www.youtube.com/watch?v=qpXFVFt2dyo
「スリランカはとにかく自然がきれいでした。トゥクトゥクでの移動中、水たまりにはまって動けなくなったこともありました。でも、そういうトラブルに直面した時もいつも現地の人が微笑みながら快く助けてくれました。スリランカは安心感もあって居心地がよかったです。」
スリランカの前に訪れた国であるインドがお二人の旅の転機だともお話してくださった。
おのぷろさん
「8カ国目に訪れた国がインドでした。その頃、旅がルーティーンになってマンネリ化してしまっていたんです。移動して、観光地を見て写真を撮って、また移動して。もちろん楽しいんですけど、思った以上に刺激がないと感じていました。」
「ちかと二人で話して、『あまり人がやっていないようなことをやりたいね』となって、スリランカでトゥクトゥク旅を始めたり、ヒッチハイクをしたり。観光地に行くよりも、その目的地に行くまでの過程を楽しむようなことが旅のメインになったという変化がありましたね。」
旅を通して二人らしいスタイルを見つけていく。YouTubeで見る二人の旅は、確かに今まで見たことのない景色や体験が広がっており、旅のあり方がいくつもあることに気付かされる。
旅先での出会い
ーーお二人に影響を与えた旅先での出会いはありますか。
おのぷろさん
「エジプトの村での出会いかなぁ。今ヨルダンにいて、その前にエジプトにいたときの話です。」
「その村には外国人が泊まれる宿が民宿一つしかないんです。そこで72歳のスウェーデン人の女性と相部屋になりました。彼女はなんと自転車でスウェーデンからエジプトまでやってきた旅玄人でした。」
「彼女は気候変動に対する啓発運動として、排気ガスを出さない自転車で旅をしていました。気候変動を少しでも食い止めたいという強い思いが伝わってきて、驚きとリスペクトを感じました。」
「そういう活動をしているからこそ意思が強く、最後まで自転車で旅をしたいという思いがある方でした。ただ、そのエジプトの小さな村からすると衝撃的な出来事だったようで、村から出る際に村の人々は『市街地まではせめてタクシーに乗って出ていってくれ』と言っていました。その村から市街地に向かう道中で何か起こることが心配だったのでしょう。しかし彼女はどうしても自転車で行かなければいけないという強い意志があり、村人や警察と2時間ほど口論になっていました。結局彼女はタクシーのような乗り物に乗って市街地に向かうにことになったのですが。」
エジプトでの出会いは、お二人にとって今後の旅や、旅人としてのあり方を考え直すきっかけになったのだそう。出会った彼女のように自分の旅の形を貫くことも重要だが、それと同時に現地の人々の当たり前を尊重し、迷惑をかけないようにすることも必要だ。自分の旅の形と現地の暮らしのあり方を天秤にかけることを意識するようになったと話してくださった。
旅先での出会いは驚きや感動、警戒、喜びなど様々な感情をもたらし、旅する自分を見つめ直すきっかけを与えてくれる。これが旅という危険と隣合わせの冒険に出る人が後をたたない一つの理由なのかもしれない。
次章では冒険をともにするお互いの存在や、今後のお二人の冒険についてお話を伺う。
【インタビュイー:青春の窓さん】
カップルで世界一周中。旅の記録や気付きをYouTubeを中心としたSNSで発信している。自分たちらしい方法で様々な地域を訪れながら世界を‘冒険’している。
Twitter (おのぷろさん):https://twitter.com/ono_production
Twitter (ちかさん) :https://twitter.com/OnoProduction_
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