幼少期を発展途上国で過ごし、世界各国で過ごしてきたバックグラウンドを持つ枝七洋さん。欧米に比べて日本がサステナビリティ後進国であると感じ、現在は日本の企業のSDGs導入を手助けをするサステナビリティコンサルタントとして活躍されている。第二章では現在のお仕事について伺い、日本ではまだ聞きなれないサステナビリティコンサルタントという職業について理解が深まったのではないだろうか。
枝さんへのインタビュー最後の記事となる本章では、自ら新しい環境に飛び込むことを恐れない枝さんの”冒険”の心得をお聞きした。幼少期からご両親の事情で多様な国で暮らし、現地に適応するしかなかった枝さんが身に着けたマインドセットは「どうにかなる」。自分のやりたいことをするためのヒントを、インタビューから紐解いていく。
ーーサステナビリティコンサルタントという仕事の難しさや、今後の展望を教えてください。
「こちらが重要だと思っていることは、セミナーなどを通してお話して初めてアピールできます。しかしその手前で『求めていない』『興味はあるけども社内で広めるのにお金は払えない』とアピールする場すら与えられない点が難しいなと日々感じています。」
「今はまだ、実際にサスティナブルな何かをしたいと思っている企業が少ないと思います。また、少し前よりもSDGsに対する関心が薄まってきているようにも感じています。SDGsを一度流行ったもので終わらせずに、多くの企業が持続可能な社会を目指すために出来ることを考えているところです。」
「また、SDGsに取り組んでいる大企業もグリーンウォッシュやSDGsウォッシュ*というように表面上の活動に留まっている所も多いように思います。そこを本当に中身のあるサステナビリティな活動に促すようなサポートをしていきたいなと考えています。」
*グリーンウォッシュ・SDGsウォッシュ
環境に良いイメージのある”グリーン”や”SDGs”と、「うわべだけ」を意味する”ホワイトウォッシュ”という言葉をかけ合わせた言葉。実態が伴わないのに環境に配慮している、もしくはSDGsに取り組んでいるように見せかけること。
ーー様々な国を訪れ、積極的に”冒険”をしてきた枝さんが大切にしていることを教えてください。
「気になったことはとりあえずやってみる。多分誰もが言うことだとは思うのですが、気になったのにやらないと、後悔したりずっと気になり続けてしまったりするはずです。それなら一旦気になったことを全てやってみて、嫌ならそこでやめればいいと思っています。」
「私は少し嫌なことや不安なこと、思っていた通りにいかないことが起こっても常に『どうにかなる』と思っています。そう思っていると、行き詰ったときでも色々なアイデアが出てくるんですよ。これは難しいからどうにもならないな、と思うとそこで思考が止まってしまうので。」
ーー幼少期と青年期を様々な国で過ごされてきた枝さんからみて、日本の学生に必要なことは何だと思いますか。
「日本人は、周りの人の意見を気にする人が多いように思います。人の意見を聞くことももちろん大事なのですが、何かにチャレンジするときは周りから否定的な意見が出がちです。また、周りの人からどう思われるかを気にしてしまうと、周りの人たちと同じこと、つまり他の人もやったことのあるチャレンジしかできないと思います。」
「決して話を聞かないのではなく、周りの人が心配とか不安の声をかけてくれた時は『自分がそうじゃないって証明してみせるよ!』くらいのメンタルで行くべきかなと思います。周りのネガティブな声に流されずに、自分がやりたいと思ったことはやることが大切です。」
ーー最後に読者の学生に向けてメッセージをいただけますか。
「何事においても、迷ったらまずやってみること、人に言われることはあまり気にしないことが大事かなと思います。やりたいことや直感的にいいと思ったことをやって、それについて自分で調べた根拠をもとに進むべき道なのか判断してみてください。」
これまで3章に渡ってサステナビリティコンサルタントとして活躍される枝七洋さんの人生についてお話を伺ってきた。日本でSDGsを達成するために奮闘する枝さんはこれからどんな社会を創るのか、今後の活動にも注目したい。冒険によって何かを失うことよりも、挑戦せずに後悔することを嫌う枝さん。枝さん流の”冒険”の心得である「どうにかなる」精神を持って、読者の方が自分のやりたいことに素直になれることを願っている。
株式会社 砺 枝七洋さん
幼少期より、アフリカのマラウィをはじめラオスやタイ、マダガスカル、ケニアなど、様々な国への渡航経験を持つ。日本の大学を卒業後、オランダのマーストリヒト大学院に進学し、サステナビリティに関する学びを深めた。現在は、企業へSDGsの導入をサポートするコンサルティングを行っている株式会社 砺で、サステナビリティコンサルタントとして活躍している。
株式会社砺HP:https://www.arato-inc.co.jp
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