top of page
執筆者の写真HearTo

【HearToプロジェクト】#22  第3章 【z世代へ】君の国際問題とは|情報は感情を揺さぶるホンモノを

更新日:2022年12月23日

第二章では、葦苅さんの活動を詳しく掘り下げていき、特に食用コオロギについて叙述してきた。これまで、コオロギを身近には思っていなかった方にも、記事を読んで、コオロギの今後の活躍に期待ができるようになったことであろう。


本章では、葦苅さんの「想い」に焦点をあてて、将来の活動に悩む学生に向けたメッセージを伝えていく。勿論、読者の皆様の中には、社会のために行動を起こしたいとは思っていない人もいるだろう。だが、是非そんな方にもこの記事を一読して頂きたい。社会問題を自分ごと化するためには一体何が必要なのか、数年後に後悔しないための学生時代を過ごすためにはどうするべきなのか、その答えに導いてくれるヒントが隠されているはずだ。自分自身を卑下することなく、ただありのままに、自分にできることは何かを考えるきっかけになってくれたら、と思う。





<Googleには無い情報を、五感で感じる>

葦苅さんは、食糧問題の危機を感じて、今の活動に至る。だが、日本で暮らす私たちが、食糧問題の危機を感じる機会は少ないであろう。そんな中、葦苅さんはどのようにして食糧問題をはじめ、社会問題を自分ごと化して、問題に取り組むようになったのだろうか。

また、葦苅さんにとっての「国際問題」「SDGs」とは何なのか、聞いてみた。



ーー葦苅さんが国際協力や食糧問題について、自分ごと化できるようになったきっかけはなんでしょうか。

「実は、国際協力を自分がしているつもりはあまりなく、国際協力を語れるような身分ではないのですが...。やはり、社会問題を人間の五感で感じることが大事だと思います。社会問題はたくさんありますが、その中の一つでもいいので、五感で感じられる経験を皆さんにはしてほしいなと思います。僕自身も、そういった『社会問題を五感で感じる』ことをきっかけにして今に至っています」


「学生時代、模擬国連や堅苦しいサークル活動には参加していました。確かにそこで貧困問題や人権問題に触れることはできたのですが、ググって出てくるような情報ではないところに真の価値があると思いはじめました。いかに、『ググってでは出てこない情報』を自分の五感で感じられるか。これが重要だと思います」



ーー学生の中で、何か活動をしたくてもなかなか行動に移せない、どうやって行動したらいいか分からないといった人も多いと思います。そういった方達に向けて何かアドバイスがありましたら、お願いします!

「実は僕も行動力はないほうなんですよね。でもやっぱり、常に小さい行動を積み重ねようとすることがいいと思います。そして、その行動に強制的に誰かを巻き込んで、共有したり、発言していくことって結構重要だと思います」


「言葉にすることによって、自分にもプレッシャーがかかるようになると思います。ですが、その過程や結果の中で、応援したり共感してくれる人が出てきたら、嬉しくなるはずです。もちろん、自分の行動や活動を全く共感してくれない人も出てきて、不安になることもあると思うのですが、100人の中で誰か一人は自分と価値観が合う人が出てくるはずです。この過程を踏んでこそ、個人活動や将来のプロジェクトに繋がっていきます


「なので、学生の皆さんも、忙しいとは思うのですが、Googleにはない情報を沢山知って、面白さを実感し、それを共有できる友達を作っていって欲しいなと思います。『意識高い系になってしまうのでは』とは思わずに、どんどん活動への一歩を踏み出して欲しいです」



ーーGoogleにはない情報とは、具体的にどのようなものでしょうか?

「例えばでいうと、アジアの農村地域の匂いを感じることとかですかね。もちろん、今はコロナで海外に行くこと自体が難しいですが、皆さんには実際にその場に足を運ぶ体験を沢山して欲しいですね。ググってでは、アジアの農村の匂いやその場の雰囲気、人の温かさは分かりませんよね。先程の質問の答えにも繋がりますが、そういった体験にこそ、五感で感じて欲しいなと思います。そこを感じられるか感じられないかは結構大きい違いだなと思います。こういった社会問題を、自分の五感で感じるという経験が、僕にとっては自分ごととして社会問題と向き合うきっかけになったなあと思います」




私たち学生が今後の社会のためにすべきこと ー葦苅さんからのアドバイスー


ーーでは、葦苅さんがこれからの未来に対して、期待していることなどがありましたら、教えてください。

「僕がこれからの社会に期待してることの一つはまさに、z世代の皆さんです。僕たちの世代だと、SDGsは社会全体の強制抑制のもと、こういったことをやらないといけないって考える人たちが正直多いです。ですが、実はz世代の皆さんはそうではないと思っています。自分の生活に彩りをもたらしたり、些細ながらも社会に「良い」ことの行動の中で、小さな誇りとか喜びを感じる世代なんじゃないかなと。この延長線で、サステイナブルな食品生産とか食品を食べるという行為に挑戦してみて欲しいです。そして、このアクションがどんどん増えていったら、何か普及していくのではと期待しています」



ーー(なるほど。)SDGsの活動だけにとどまらないで欲しいとのメッセージも、葦苅さんのアドバイスから読み取れるのですが、葦苅さんにとってSDGsとはなんでしょうか。

「SDGsは、社会全体のゴールとしてすばらしい概念だなと感じます。しかし、それが自分の日常生活をどう彩らせるのかを、一人一人に意識させることができているかというと、それには疑問が残ります。一人一人に意識させる、この行動の機会がまだまだ少ないのではと感じますね」


「SDGsとか、サステナブルって、SNSなどを通じて今まで沢山目にしてきたと思います。正直、うんざりしている方も多いのではないでしょうか。実際、僕自身も、SDGsという言葉を聞きすぎて、うんざりすることが多いです。ですが、そういった、社会に抑圧されているSDGsの取り組みではなくて、自分のためにも、自分ごととして国際協力であったり、社会参加を促す活動を心がけて欲しいです。僕たちは本当に、皆さんのような若い世代の皆さんと一緒に、そういった活動をしたいと心から思っているので」


「そして、その活動の参加を促すアプローチの一つとして、皆さんにとって身近な『食』の面で変革を起こしていきたいです。例えば、昆虫のような未利用の資源を食の選択肢としていれると、これまでとは違った食糧生産の形ができます。そういったアプローチを、皆さんのような学生さんと共に作っていきたいですね」



葦苅さんが思う、真の「国際協力」とは

ーーでは、葦苅さんは「国際協力」という言葉をどう捉えていますか。また、どのような意味を持つと思いますか。

「難しい質問ですが、国際協力は、国籍は関係なく自分が持っているスキルと相手のスキルの相互交換みたいな感じだと思っています。相手が持っていなくて自分が持っているスキル、相手が持っていて自分が持っていないスキルなどという風に、「ギブアンドテイク」の要素があるのではないかと個人的には考えています」


「ですが、東京に住んでいる人とかって冷たい人も少なくないですよね。特に都市部の地域関係や人間関係って薄いなあと感じます。でも、私たち人間って本当は『関係性な生き物』なのではないかと思うんですよね。

なので、やっぱり、今よりももっとウェットな関係構築が広がって欲しいなと思います。そして、それを途上国にも広まって欲しいです」



ーー最近、サスティナブルと聞くと、「我慢」の雰囲気を感じてしまうことがよくあります。葦苅さんが行っているコオロギを使った活動を世界に広めるには、そこが壁になってしまいそうだなと考えました。コオロギを使った食品を、我慢の要素を感じさせないように且つ、楽しく食べれるようにしていくには、何か方法はあると思いますか?


「本当に、まさにおっしゃる通りです。そこが課題で、逆に皆さんから意見を頂きたいくらいなんですよね(笑)。僕も、最近は、サスティナブルという言葉から胡散臭さを感じてしまうので、あまり使いたくなくて。でも、その状況を変えるためには、体験価値を増やしていくことが重要かなと考えています」



ーーなるほど。ただ、実際、サスティナブル製品は高いですよね。。特に学生にとって、正直、サスティナブル製品は買いにくいなと思ってしまいます。

「そうですよね。なので、やはり変えなくてはいけないのは、価格です。日本のフェアトレード商品とか、サスティナブルと言われている製品って、やっぱり高いですよね。なので、サスティナブルフードをいかに手軽に日常取り入れられるかを、これから向き合っていく課題にしたいです。

具体的に言いますと、コンビニに並ぶサステナブルフードは、個人的には日本にはまだまだ少ないと思っているんですよね。でも、欧米ではサステナブルフードが、普通の食品の1.2倍より少し高いくらいの値段で、且つ手軽に手に入れられるんですよ。日本も、まずはそのくらいの値段に落とし込む必要性があると思っています。その上で、体験価値をどう作れるかが課題ですね。皆さんと、ぜひ一緒にこのことについてもディスカッションしたいです」



学生時代を後悔しないためには ー葦苅さんからのアドバイスー

自分の感情の揺らぎを大切にしてほしいなと思います。その揺らぎに気づくことが、これからの行動に繋がる第一歩です。そこから、社会に発信することができたら、それはもう自信持ってください。

社会問題をまず自分ごと化して、さらに小さなアクションをとっていき、そこでまた自分の感情がどう揺れ動くのかを実感してもらう。そこを学生の皆さんにはぜひ挑戦してみて欲しいです。学生時代を振り返った時に、後悔しない秘訣でもありますね。



 

【インタビュイー:葦苅晟矢さん】


海外を拠点として食用コオロギを利用した持続可能な食料生産を行う、株式会社エコロギーの代表として活躍中。フードロスを活用してコオロギを育て、ヒトに限らない全ての生命の健やかな生活をサポートする。



株式会社エコロギーHP:https://ecologgie.com/



葦苅晟矢さんtwitter:@ashikari_seiya



閲覧数:74回0件のコメント

Comments


bottom of page